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萩中住宅の建替えの中心の一人となった同僚Aは、萩中を担当はコンサルタントになりたての若手でしたが、萩中住宅の建替えを中心となってコーディネートし、さまざまな経験をした結果、今では建替えばかりか再開発でも知られる存在に大きく成長しました。
それは、互いに信頼という基盤があり、その基盤がコンサルタントを育て、活かし、結果として事業の成功に繋ったのです。
コンサルタントという存在私の本業は駅前などで行われている再開発事業のコンサルタントです。
多くのコンサルタントが再開発プランナーという資格をもって仕事をしています。
「再開発事業」というと、駅前に新しくデパートやオフィスビルなどを建てる事業だと思うかもしれませんが、その本質は都市の再生を手助けし、まちに人を集め、活力を取り戻すことです。
たとえば木造建物が密集した危険なエリアで、多くの権利者の共同意識を高め、組織化を図りながら、より安全で快適なまちにつくりかえることを目的とする事業なのです。
マンション建替えも、ただ古くなった建物を建て替えるだけではなく、その本質は区分所有者の共同意識を高め、コミュニティを再生させることにありますから、再開発事業と深いところで類似しています。
そのような理由から、再開発プランナーまたは再開発コーディネーターとしての資格を有する者のうち、必要な研修を終了した者を、マンション建替えの専門家である「マンション建替えアドバイザー」として、再開発コーディネーター協会が認定し、登録しています。
本書を読んでいただくとおわかりのように、マンション建替え事業とは、ただ新しいマンションを計画するとか、日常的な管理業務を行うというようなこととはまったく異質の特殊な業務です。
このような技術や経験、ノウハウをもつ専門家コンサルタントを選ぶことが、事業を成功に導くために重要な要素であることを理解していただけるでしょうか。
建替えというのはただ単に新しいマンションを建てることではなく、コミュニティを再生させることだ、というのが私の持論です。
コミュニティの再生とは、建替えというプロジェクトの実現に向けて区分所有者の気持ちが前向きになり、ひとつになることです。
私たちコンサルタントが事業に関わる時、もっとも心をくだくことは組織のやる気や前向きのエネルギーを引き出すことです。
そのために人間的な信頼関係を築くことが、最大のテーマであるといっても過言ではありません。
であればこそ、コンサルタントの人柄や組合のリーダーたちとの相性などが重要な要素となります。
できれば、複数のコンサルタントなどに面談を行い、委託費用の額や会社の規模だけでなくその人間性を判断できるように、充分な比較検討を行った上で選定をすることをお勧めします。
コンサルタント費用は払いたくない、一般の区分所有者の理解が得られない、ということで、最近はコンサルタントを選ばずに、最初からディベロッパーを選び、ディベロッパーにコンサルタントの仕事を委託するという事例も増えています。
その是非について、触れておきたいと思います。
コンサルタントを使わずに最初からディベロッパーを選べば、たしかに見かけ上はコンサルタントへの委託費用が不要となります。
しかし、果たしてこれは本当のメリットでしょうか。
コンサルタントの基本的な役割は、組織に前向きな活力を与え、同時に専門家としての知識と経験に基づいて課題の解決に向けた公正で客観的な判断を示すことにあります。
単に、法手続きを代行したり、区分所有者間の合意形成を手伝うことだけがコンサルタントの役割ではありません。
ディベロッパーと区分所有者の関係は、いっしょに共同して建替えという困難な事業を進めようというパートナーの関係にあると同時に、他方では保留床の売り手と買い手という関係に立っており、いろいろな場面で区分所有者とディベロッパーは利益がぶつかり合う関係に立つことになります。
例をあげれば、古いマンションの権利の評価、新しいマンションの取得価格、そして住戸選びの際の優先権などいろいろな場面で両者の利害がぶつかり合うことになります。
そのような場合に、区分所有者の立場を守りながら、事業を成功させるために両者の聞に立って利害を調整する役割を担うコンサルタントがいるかどうかによって、事業への信頼は大きく異なるはずです。
利害が対立するから信頼できないのではありません。
互いに信頼されていないのではないかと疑心暗鬼になり、関係がギクシヤクすることが問題なのです。
もっとも、私がコンサルタントを生業としているので、その点は多少割り引いて考えていただいたほうがいいかもしれませんが、コンサルタントという仲介者をおくことはディベロッパーにとっても本当はよいことのはずですが、実際は煙たがれることも少なくありません。
これらの問題を避けるためには、コンサルタントを選ばない場合でも、最初から特定のディベロッパーに依存するのではなく、選定の過程において競争原理を充分に働かせてその会社の実績や条件を比較検討し、区分所有者全員が納得する形でディベロッパーの選定を行うことが重要だと思います。
計画段階計画段階では、コンサルタントを中心に基本計画案をつくり、その計画案をもとに本格的に建替え計画を検討するか否かを、「建替え推進決議」というかたちで区分所有者に問いかけます。
その結果、多数の区分所有者の賛成を得られれば、建替え計画を実現するための具体的な条件づくりに入ることになります。
それが、事業協力者の選定です。
その中には施設の設計だけではなく、事業手法や資金調達方法、あるいは事業を進めるための組織をつくり上げる段階で、事業化の実現性を決定付ける重要な過程となります。
建築上の法規制などを確認しつつ、アンケート調査や意見交換会などを何度か繰り返し、区分所有者の意向などをもとに、計画の条件を整理します。
そして複数の案を検討し、事業性や保留床の処分などを考えながら、最終的には一案に絞り込んでいきます。
萩中住宅では、この段階の検討で区分所有者の負担をできるだけ小さくする必要があることから総合設計制度の利用や補助制度の活用を決めています。
また、別の渋谷区にあるマンションでは隣地を取り込むかどうかの検討を約1年かけて行っています。
事業としての採算性や合意形成上の課題なども考えながら、施設計画の内容や事業手法の検討などを行うのが、この基本計画段階です。
推進決議による総論合意基本計画案の検討がほぼ終わると、これをもとに建替え決議に向けた本格的な検討に入るか否かについて臨時総会を招集して、推進決議をとることをお勧めします。
この基本計画案で本当に建替え事業が実現できるのか、とくに資金調達面で多くの区分所有者は不安を感じているはずです。
そして、この不安を解消しない限り、建替え決議に向けた合意形成も成り立ちません。
この推進決議は法的に要請されるものではなく、次のステップに進むために必要な区分所有者間の建替えについての総論的な合意となります。
この推進決議を受けて、保留床の処分先となるディベロッパーの意向を打診し、資金の調達先を確保して事業としての実現性を担保していくことになります。
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